■ スピーカー収集
これまで、住環境の制約から6.5インチ、日本感覚だとおよそ16cmのユニットを中心に収集、使用してきた。
単体ユニットでは HiVi、TanBang、Fostex しかもお手頃の価格帯のものばかりを選んで。
高くても1万円/Unit。
しかし、入れる箱とネットワークで音が決まるのでピタッとハマった時には、安いユニットといえど侮れない。
完成品としては多くなく、
結婚当初は大きめのブックシェルフ(貰いもの)、子供が生まれるとミニコンポ(新品)の買いツナギ。
高学年に成長してくると、DENONの大きめのもの(新品)へと。
子供への危険度に影響されながらの変遷を余儀なくされている。
もとより、高校時分からの自作派なので完成品への思い入れがあまりない。
そして最近では、孫の存在がまた影響を及ぼしつつあり、コンポ付属のスピーカーへと移ってきている。
しかし抵抗するかのように、高さ1mほどのMTMのリビング設置を奥様は要求。
これは実現しそうだ・・・・させないと・・・・
これまでの収集はやはりコンポ付属の小型ブックシェルフが多数を占める。
選択の基準は「箱がしっかりしているか否か」。
いざとなれば、ユニット交換でおもしろく遊べるからだ。
DENON、ONKYO、Kenwood、Pioneer などなど国産ばかり。しかもチョット古めの中古品。
物量投入の時代の製品は、小型ブックシェルフといえども結構良い素材を使っているので狙い目なのだ。
海外品では興味の大半が大型(?)がメイン。ショップの試聴で DALI ICONに惹かれたが手を出せない。
DALIとは趣が異なるが、JBLの STUDIO 500Series 大型のものもイイ。
一時期、購入も考えたほど。
奥様用にリビング設置をと相談したが、そのサイズのものなら“あのスピーカー(MTM)があるでしょ”の一言。
ごもっとも・・・・・
今ではこの収集(癖)も治まっているので、最近では何か購入というところまで至っていない。
■ お気に入り
これだけ集めたスピーカーの中で「お気に入り」になったものがある。
Pioneer の エッジレス・ユニットを使用したスピーカーだ。
かつてデスクメインで使用していて、今はTVの裏で活躍中の「S-ST05」をはじめ、引っ越し前に、TVの裏で活躍していた「S-F21-W改」。
ユニットの大きさこそ違うが、同じコンセプトのSP。
しかも、どちらも数セットストックしてあるほどの入れ込みだ。
さらに、単体ユニットより“はるかに”お安い。
ネットワークは、WF(6Ω):0.56mH 6dB、TW(6Ω):2.2uF 6dB 2.2uFはNP銅箔巻
「S-F21-W」は、そのまま使用するとたいして面白くないスピーカーなのだが、トゥイータ―を殺し、コンプレッションドライバーを追加。
当然ネットワークは新設する。
たったこれだけ。同じ箱でも全くの「別モノ」に変貌を果たす。
WFユニットのスピード感というか素質の良さなのか、コンプレッションドライバーと相性がイイ。(意見には個人差があります)
「S-F21-W」のWFは構造上VCがかなり後ろにあるので、そもそもホーンとは合わせ易い。
さらに、2~3台/ch + コンプレッションドライバーで使用すると「高音と低音」の広がりと響きが最高になる。
これを知って以来、このSPの虜なのだ。
■ 新しい部屋で再スタート
LS-HD7(改)を設置して以来、自部屋の普段使いで利用しているが、そろそろTVの裏で使用していた「S-F21-W改」を自部屋メインとして設置すべく作業を開始した。
LS-HD7(改)は撤去し、「S-F21-W」(1台)とコンプレッションドライバーの構成を設置。
ドライバーは、ClassicPro というメーカーのF特が2wayで使用する上で比較的都合の良さそうな「ED3402(8Ω)」。
数年前に購入した時より、さらに安くなっている!この円安なのに!
当時、“お手頃価格!こんな安いドライバーがあるんだ~”と感激し、面白半分にポチっ! 手が勝手に購入した(そんなわけない)。
ホーンも同じくClassicProのもの。ホーンの特性は公表されていないが、この形・大きさはかつて海外出張で購入したものと同じ。
との診たてで1KHz~だろうと推測し12dB/12dBで 2KHzをクロスにして使用していた。
このドライバはちょっと特殊な設定をして2Wayとしていた。
まぁ、結果としてはこの組み合わせはハマり、ドライバー&ホーンとS-F21-W(TW殺し)との相性は抜群だった。
今回は、「S-F21-W」が1台なので、ネットワークの再設計となる。
ホーンは1KHzで思い切りよくスパッと切れていたので、それを十分考慮。
あまり低域を通したくないが6dB。ホーンとドライバの特性から12dBまでは必要ないと判断。
今回は、ドライバーの限界まで低くという目標で1KHz付近にクロスを設定し、ホーンとドライバーのfoギリギリで使用してみることに。
クロス付近から上の薄さをカバーするため、しかしながらあまり上に影響しないように WFは、6dB+α 。
WFの特性が分からないのでWF部分は“カン”と“試聴”だけが頼りとなる。
少し余裕のある値で試しながらの調整。
・・・・・・・
・・・・・・
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
やっと落ち着いたのがこの値。
※使うパーツによって値が変わってくる。音が変わるから合わそうとすると値が異なるものになる。
WFのコイルは、「ボビン型」のものと「直芯型」のものを比較して、従来通り“音の抜け”と“切れ”の良かった「直芯型」の方を採用。
ドライバーのコンデンサは、4.7uF、2.2uF、1uF の赤フィルムコンデンサーを組み合わせて目的の容量とする。
こうすることで、微調整も容易だ。
このWFとの組合せでは、かなりの能率差があるのと山形の波形を利用してなるべく上の方から下げていく。
さらに4.5KHz付近に幅の広いピークがあるので、そこにはこれまで通りディッピング回路をいれる。
これらは、前回と同じだ。
ただ、今回は 5KHz以上の能率を目安に6dBでコンデンサーの値を決めた。
<作業中の風景>
1日ほど聴き込んで・・・ではなく流し聴きしてみる。
気に入らないところがいくつか出てきた。
男性のニュースアナウンスの声がこもっている。中抜け?
低域の響きが(少)ない。
高域にキレが無い。
WFをもっと上まで伸ばさないといけないのではないか? でも6dBだぞ。
ドライバーをあまりにも上の方で落とし過ぎたかな?
容量を増やすと調整が難しくなるし・・・・こちらも6dB+αにしてみたらどうだ。
クロス付近をチョット持ち上げるために1~1.5mHくらいを追加してみる。
うぅん・・・良くなったケドなんか、まだ高域のキレが・・・・何故?位相?
正相に戻してもあまり変わらない。
ホーンを前後させてみるが、音域によって多少違和感が出る。
いつもクロスオーバーの計算は、LR(Linkwitz-Riley) で行っているが、6dBでは「アタリ計算」としてBW(Butterworth)を使用している。
12dBならLR の方が好みだし位相の変化が緩やかなので愛用している訳だが、このSP構成ではドライバーの特性の利用方法が特殊なので計算では求められない。
こんな時にいつも取り出すのが、この回路。
WF,ドライバーどちらにも同じような値(容量)となったので、いっその事これで・・・パーツも減るし。
しかし回路による音の変化は顕著。
巷ではあまり見かけない方式だが、ホーンを使う際、なかなか設定が出ない時に使用している。
ちなみに普通のドームツイータでも結構有効だ。
WF、ドライバー側の値がたまたま同じようになったので、この構成がとれて結果オーライ。
こちらの回路の方が、全てにおいてイイ。
・男性アナウンサー(英語)の音声
・低域/高域の響き
・高域のキレ
・ホーン位置
・抜けが良く伸びやか
とは云ってもいいことばかりでなく、音源の歪みが如実に表現されてしまう。
ネットラジオを聴く上では鬱陶しくてしょうがない。
これを差し引いても
・弦楽器の細かなニュアンスの表現
・ピアノの響き(チョット高域が強いかな)
確実にこちらに軍配いが上がる。
この構成で、今度はどこまでクロスを下げられるか試してみた。
1)6.9uF → 11.6uF / 1.5mH → 2.4mH
2)6.9uF → 9.4uF / 1.5mH → 2.4mH
3)6.9uF → 9.4uF / 1.5mH → 2.0mH
まずは思い切って 1)。
これはチョット無茶があった。
これこそ、中抜け。WFとドライバーが分離している。
ドライバー&ホーンの下限を超えてしまったのだろう。
つづいて 2)。
うぅん・・・良さそうでよくよく聞くと良くない。
ピアノが「おもちゃ」だし。
フルートの響きのバランスが悪い。
オーボエが甲高い。
などなど。
最後に 3)。
この時のコイルは「ボビン型」のものしか手元になかったのでそれを使用。
「直芯型」なら同じ評価ができたのに残念。
バランス的には、イイ感じ。
2での問題点はクリア。
全体的に響きが無くなった。
ホールで聴いているかのようなあの響きがよかったなぁ。
物足りないなぁ~ハァ。
いろんなジャンルを聴くにはこちらがイイかも知れない。
どうやらこのあたりがギリギリのラインだ。
クロスはどのくらいになっているのだろう???
この回路、計算式が分からないので値を確認するすべが無い。
各部別回路として計算していいものだろうか????
同じ値でBWで求めて、ドライバー特性を反映すると 1KHz+ くらいだと思われる。
元の値に戻すか否か・・・・
アナウンサーの音声、POPグループのボーカル男女、問題無い。
しばらく、聞き流してみよう。
■ 翌日
ドライバー設定でチョット気になったところが・・・・・
以前のディッピングレベルを修正していなかったことに気付いた。
以前は、クロスも高かったしTVの後ろに設置して高域がバラけるのを考慮して、高域のピークもあまり落とさずにいた。
今回はさえぎるものが無い=もっと落とさないといけない。だ。
そこで、9R1 → 10R0 → 12R0 と変えて、Nexus7の例のスコープで計測しながら塩梅のいいところを選択。
12R0 とした。
すると、全体的にドライバー側のレベルが低くなった感じなので、アッテネータの値も4R3(8R2//9R1) へ変更。
この状態で、コンデンサ、コイルの値を変えて再試聴をしてみる。
昼間は音量も上げられるし・・・・
1)6.9uF → 11.6uF / 1.5mH → 2.4mH
2)6.9uF → 9.4uF / 1.5mH → 2.4mH
3)6.9uF → 9.4uF / 1.5mH → 2.0mH
仕切り直して1)。
おぉ~。
どうやらピークに引っ張られてレベルを下げていたため、クロス付近で低くなりすぎていたんだな。
「スカスカ中抜け」が無くなって、かなりイイ。
10.4uF も試してみる。このあたりがしっくりくる。
ピアノ、フルート、オーボエ いろいろ試し聴きしてみても納得。
“もうひと声”高域が欲しいので、そこで、アッテネータも 4R1(炭素皮膜) や 3R8(セメント)、3R3(セメント)、3R0(セメント) の聴き比べ。
値としてはほんの少しづつの差だが 、結構聴いて分かるくらいの差がある。
ひとまず3R3 を採用。
男性アナウンサー(英語)の音声も“こもり”感がなく、各楽器が綺麗に鳴るようになった。
セメント抵抗の音より炭素皮膜の方が好みなので幾つか種類を購入して変更するようにしよう。
つづいて2)。
1)の状態で・・・値の変更
この値でもクロス付近のレベルはほぼ平坦にみえる。
しかし躍動感が無い。こちらもほんとにチョットの値の差なのに・・・・
それなら3)は・・・・・
このコイルで、イイじゃないの。
(この音は)ダメよ~、ダメダメ~~。
と云う訳で終了。
1)の状態で聴き流し~。
夕飯、TVタイム&団欒を済ませ、既に夜中。
Hilary hahnのバイオリンでBach PartitaをBGMに「一杯」。
そうそう、この音。
同じ種類のコイルがあれば、もっとバリエーションを試せたかもしれない。
暇な時に、ヤフオクを漁ってみよう。
気が向いたら、また変更するかもしれない。
何せ、老化すすむ耳がダメダメ~~だから。
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