せっかくのFiiO D3 のパフォーマンスを活かすアンプを考えるにあたり、AudioXpressのJeffの記事を参考にあれこれ考える。
■ オリジナルの音を推測する
オリジナルでの音は定かではないが、そのままの定数で定番Tr 2SC1815/2SA1015、2SC4793 を使用してブレッドボードで組んでみた。
問題なく、動作し、安定している。
が・・・・音が・・・・ ベールがかかり、さらにその楽器の音で鳴っていない。まるで駄目だ。
やっぱり、定数変更は必要かと思い、LTSpiceでシミュレーション上での抵抗の値を変更してみたが一向に変わらず。
Trを変えれば変化があるかと、Trをあれこれ変更して・・・とっても秋月入手ベースで。良くなる組み合わせはないことはないが、どうも納得のいく音にならない。
この回路、どのTrを変えても音が変わる。面白いほど変更した結果が分かる。
そういう面では、Trの組み合わせ次第なのかもしれない。
また、どのTrを使っても回路自体はJeffの書いている通り、ものすごく安定しているので安心して試せる。
それは、オフセットだけでなく、ダーリントン側のパワーTrをドライバーTrと熱結合させなくても大きな変化が発生しない。
この回路ものすごく魅力的。どうにかして、手持ちパーツで納得のいく音にできないか。
■回路の変更
このまま、無限にTrの種類を試すにはいかないので、初段をFET化してみた。
オリジナルとは異なってくるが、いたしかたない。
FETに変えるとこれまた音は一変!FETで行ける感触を得た。
FETは、2SK246、2SK30A-GR、2SK163 他にもあったが絶版ものばかりなので試すのをやめた。
2SK163は、LUXのアンプを修理するに大量に仕入れた関係で余ったものを使用。今でも購入できるところはあると思う。
まずは、大人の音を出す2SK163を使用。やっぱり大人。嫌いではないがインパクト感に欠けてしまった。
次に2SK30A-GR。なかなかどうして。インパクト感。楽器が鳴っている感。良い感じ。
最後に2SK246。音的には2SK30A-GRと遜色ないが、ヘッドホンで聴く際にノイズ的に2SK30A-GRが有利だ。
初段の回路定数は、それぞれのFETでノイズをみながら決めた。大出力であれば初段のゲインも考慮しなければいけないところだが、あくまでも小出力なのでそこは深く追及しないという前提でFETや定数決め。
回路図のものは2SK30Aでのもの。
オリジナル回路図からの追加部分は、下記の回路図で緑枠の部分。
最終段下段の0.1Ωは、計測用。
オリジナルからの定数変更はオレンジ枠。さらに初段がFETになっていること。
値は原形をとどめていない。
また、最終段上段のエミッタのダイオードを接続していない。
所詮、小出力での使用なので効率は考慮しなくても良いかという結論。
赤枠の部分は追加、最終段のバイアスを200mAほど流すので、リプル対策のフィルタだ。これでも結構機能している。
電源は、12V1.2Aのスイッチング電源を使用。これも以前に秋月調達したもの。
■ただいま作業中
お見せするには恥ずかしいのだが、作業する上でものすごく便利なのでご紹介がてら。
本作業の作業中のもの。
100円ショップの厚手の書類ケースを使用した「ブレッドボード向け簡易ケース」。
作業中断のときでも、閉じておけば埃も積もらないし、上にものを落とす心配もない。
しまう時も本棚へ直行。
その後、もっと厚めで蓋式の書類ケースを発見(但し、157円/個)。
これがまた、すごく便利で、作業中は蓋を外しておけるので場所を取らない。
ただ、稼動中は蓋を開けて隙間を作っておかないとTrが触れないほど熱くなる。
あまりにも便利なので他のブレッドボードも、同じようにケーシングしてしまった。
■今回の結果
試聴は、ヘッドホンとスピーカーの両方で行なった。
共に満足の音が得られた。
スピーカ(ST-05)での出力は十分である。
デスクトップの小型スピーカーが鳴っているとは思えないほどの音で、リアルに再生してくれる。
このスピーカーのすごさを再認識。
ヘッドホンでは、 ATH-AD1000 がすごく良く鳴ってくれるのがうれしい。やっぱり音がリアルなのだ。
広がり感も十分ある。大好きなコンチェルトがいっそう映える。
思い切って回路を変更してFETを使用するということにしてしまったが、結果オーライである。
しばらく、このバラックでエージングがてら聴き込むことにしよう。
■今後の思慮
今回、思いのほか良い結果が出せたので、バラックのまましばらく聴いて心変わりがなければ、基板での制作に進むことにする。
今日(3/10)昼からずっと稼動させているが、先に進めても良いかもという気にさせている。
他にもブレッドボードで作業中途のものもあるが、少し休みしてもらってこれに集中するのも悪くない。
3/11:
作業中は常に温まっていたので気付かなかったが、2SK30A-GRに変更してから電源ON後オフセットが落ち着くまでにしばらく必要であることに気付いた。
Trのときは、最初の調整そのままでOKだったのだが・・・・
1.9mA/FET は流しすぎか?問題ないレベルだと思うが。
実際の組み立ての時には、遅延回路は必須かもしれない。
ヘッドホンを考えるとオフセット回路も場合によっては必要かも。落ち着く時間次第というところか。
オフセット回路は、音に影響しないか心配だな。ブレッドボード上でやってみるか!
遅延回路やオフセット回路を毎回ユニバーサル基板で製作しているので、そろそろ専用基板を作ろう。
周辺回路はそうそう変更しないので。
■ 2SK170BL
(2012/3/29)
パーツ箱をあさっていたら2SK170BL を発見。
いつ購入したものだろう???しかもBL。
その時必要でないものをこうやって買っておく癖があるので、すっかり忘れている。でも今回はラッキーだ。
初段の2SK30AGRを置き換えてみた。
お!・・・・元気な音になる。
どうやら高域寄りの音になるようだ。それでいて音の傾向が大幅に変化するというとそうではない。
しばらく聴いていると、慣らしが効いてきたのか中低域も良くなって、むしろこちらの方がしっくりくる。
生々しさはこちらの方が上かもしれない。
LTSpiceで見てみると、1M付近まで特性が伸びているので、今回のようにスイッチング電源を使用としたら
影響を考えると300K付近まで落とすことが必要かもしれない。
スイッチング電源の周波数が不明なのでなんともとも言えないが、2SK30AGRのときは260K(-3db)だったので、
やはりその辺りが目安か。
■ やっぱり2SK30AGR
(2012/4/3)
2SK170BLの音に聞き惚れて、調整後この状態のままでヘッドホンで聴いていると、聴き疲れすることが分かった。
もはや、高音域の聴力は若者には勝てない体になっているので高音域の増加だけでなく、全体的にハッキリしすぎているのかもしれない。
スピーカーからの出力は2SK170BLの方が断然いい。でもヘッドホンでは・・・・・長時間がきつい。
2SK30AGRに戻すと、落ち着いた音になった。何やらホッとする。
シミュレーション結果では周波数特性や音の傾向はいい方向なので、あとはお好みの問題だな。
他のTrも交換してみることにしよう。
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