TH7750A電源回路の実験

■目的

1作目のNJM3414アンプでは、小さな面実装用 47uH を使用し割といい感触を得たが、これ以外のコイルを使用した時どうなるのかを確認する。
前作では面実装47uH 以外のコイルが手元になかったのでチェックしなかったが、今回、故障DVDプレーヤーをもらえたのでそのハラワタパーツ内のコイルを利用してチェックしてみようと思う。

■回路

2nd_PSU_HT7750A
■チェックと定数決め

もちろん回路チェックはブレットボード。
使用電池:NiMH 1.3V(実測値)
電流負荷:10mA(ヘッドホンアンプをつないでいる)
音量:最小
チェック用SP 8Ω/86dB、ヘッドホン(以降HP) 22Ω/104dB/mW

チェック項目は
A)出力電圧
B)電池消費電流
C)SPでの音出の感じ
D)HPでの音出の感じ

使用コイル
2nd_PSU_HT7750A_TEST
左から
・前回使用 表面実装47uH:面実装47uH(直流抵抗値:0.5Ω)
・緑色のチューブラ型47uH:47uH(緑)(直流抵抗値:1.7Ω)
・直径8mm高さ9mm 47uH:47uH(大)(直流抵抗値:0.1Ω)
・直径8mm高さ8mm 10uH:10uH(大)(直流抵抗値:0.1Ω)
・直径10mm高さ14mm120uH:120uH(大)(直流抵抗値:0.1Ω)

1)面実装 47uH
A) 4.61V
B) 56.7mA
C) そこそこ聞けるところまで音量を上げると歪んでくる。歪む手前で電源電圧降下。
D) 歪むまでの音量に耳が耐えられない。

2)面実装 47uH + 47uH = 94uH(隣り合わせ配置)
A) 4.87V
B) 57.2mA
C) 上記1の時よりも歪みに至るまで音量UPできる。歪む手前で電源電圧降下。
D) 歪むまでの音量に耳が耐えられない。気のせいか音がクリアになった。

3)面実装 47uH + 47uH = 23.5uH(並列:隣り合わせ配置)
A) 4.98V
B) 73.5mA
C) 上記1の時よりも歪みに至るまで音量UPできる。割と安定
D) 歪むまでの音量に耳が耐えられない。気のせいか音がクリアになった。

4)47uH(緑)
A) 4.62V
B) 58.2mA
C) 上記1の時よりもわずかに音量UPできる。歪む手前で電源電圧降下。
D) 歪むまでの音量に耳が耐えられない。

5)47uH(緑) + 47uH(緑) = 94uH(隣り合わせ配置)
A) 4.28V
B) 51.7mA
C) 上記3とあまり変わらず。歪む手前で電源電圧降下。
D) 歪むまでの音量に耳が耐えられない。

6)47uH(緑) + 47uH(緑) = 23.5uH(並列:隣り合わせ配置)
A) 4.98V
B) 75.8mA
C) 上記3とあまり変わらず。割と安定。
D) 歪むまでの音量に耳が耐えられない。

7)47uH(大)
A) 4.97V
B) 61.1mA
C) 上記2の時よりも少しだが音量UP可能。電源電圧はかなり安定。
D) 歪むまでの音量に耳が耐えられない。気のせいか音がクリアになった。

8)10uH(大)
A) 5.02V
B) 90.6mA
C) 上記2の時よりもかなり音量UP可能。電源電圧はかなり安定。
D) 歪むまでの音量に耳が耐えられない。気のせいか音がクリアになった。

9)120uH(大)
A) 4.99V
B) 60.3mA
C) 上記2の時よりもかなり音量UP可能。電源電圧はかなり安定。
D) 歪むまでの音量に耳が耐えられない。気のせいか音がクリアになった。

1~9 全て無音時の電流/電圧である。
音量を大きくすれば電流を消費することになるが、SPでは大きく変化するものの、HPでは顕著な変化は見られなかった。
SPを鳴らすかどうかはともかく、安定度の高い8番が良いように思えるが、常時90mAを消費するのが携帯用として適当かどうか考えると、面実装47uHx2(直列) や47uH(緑) でも十分だと考える。
しかも、HT7750Aのスペックシートでは10uHという値は範囲外である。

実験では、範囲外のものを除くと コイルは形が大きいほうが効率や安定性が良いという結果だ。
ただ小さいものでも直列にして容量を増やしていけるものもある。直流抵抗値が低ければ直列でも問題ないという理屈か?2個使うのであれば並列が成績が良い。ただ、この結果使い続けるとどうなるかは検証していないので自己責任で。

今回の検証はかなり大雑把なので結果はあくまでも参考レベルで考えてほしい。
スペックシートの記載範囲内で考えると、大きさはともかく直流抵抗値の低いもので容量としては1個で100uH のものを選択すれば安全かもしれない。電流消費も少なくて取れる電圧も高い。

制作の際には各自実験してみて、ケースに合わせて最適なものを選んでもらえるとよいと思う。

Comments are closed.

カテゴリー

最近の投稿

DIY AUDIO リンク

タグクラウド