手術後、頻繁に「ドキドキドキ」と発作の前兆動悸が発生している。
術前の状態では、このあと頻脈が始まり動けなくなるのだが、頻脈にならずにそのまま収束する。
ただ「ドキドキドキ」の後の頻脈がついつい来そうな気がして、再発するではないかと違った意味で「ドキドキ」。
発作まではいかないにしても「ドキドキドキ」が頻発すると胸が不快でしょうがない。
せっかく治していただいた体なので、早く慣れて通常の生活が出来るようにしていくしかない。

倒れてからというもの出社できず会社に迷惑がかかっているので、一時休職している。
そのため調子の良いときは、どうしても時間を持て余してしまう。
外出なども考えたが、車の運転は危険だし、発作が起きたら今度は警察や救急車になったりしたら大事になる。
自宅で出来るものを・・・・と。
「数独」で時間を潰してみたり、録り貯めた録画を消化したり。まるで定年後のオヤジのようだ。
それらも数日で飽きてしまう。
周りを見渡すとバラック状態のまま使っている「オペアンプ&6N3Pアクティブ・ボリューム」が否が応でも目に入る。
これまで見てみぬふりをしていたが、さすがに暇を持て余しすぎて重い腰を上げることにした。

 

■ 箱組

今回はたっぷりある時間を使って。
そう、ゆっくりやればいい。
調子が悪くなったらやめればいい。
という前提で作業開始。
当初の計画通り、自宅在庫の安物ケースに収める内容で進める。
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安物ケースと入っても、ケースの表にネジを出したくないので、DACのとき同様「スライド式」にする。
スライドベースは、3mmMDF。
リアは予定通り基板使い。
フロントはアルミにするかどうするか。
気力がどのくらい残るかで考える。
いろいろ試行錯誤しながらケースの構造設計図を書き、しこたま時間が潰れる。

基板と箱を制作。
スライドベース組み上げ。

ギュウギュウ詰めだ。
もっと余裕がある予定だったが、そこはシロート設計。思惑通りにはいかない。
これだけ狭いと配線の引き回しも大変。
100vライン、真空管とオペアンプへの電源ライン。
一番厄介なのが、それらを配慮しながらの入出力ライン。
もちろん設計段階からそれらを意識してパーツの配置を考えているのだが、ケーブル分の勘定が足らず、配線がキツキツになってしまったところも。

さらに予定通りに行かなかったトランスの配置。
巻線が電源トランスと直角になるように予めヒーター側のトランスを横置固定できるようにして、電源トランスと巻線側でお見合い並列配置を予定していた。
収まりはいいが、その配置では「ハム祭り」になってしまった。
お歳暮のハムは大歓迎だが。これはちょっと。
それぞれトランスを回転させて、ハムの止まる位置を探った結果、それぞれ斜め配置でほぼハムが止まったが、なんとも収まりが悪い。
しかも数時間使うと、トランスが発熱する。
両トランスとも熱く、特にヒータートランスは触るのを躊躇するほどになっていた。
気温も高い時期だったので、そのせいかもしれないのだが、ヒーターは6N3Pの1本である。
定格 6.3V/350mA。
ほぼ終日、つけっぱなしになる予定なので、これを6.0Vで運用の予定。
トランスAC18V -> 整流(25V) -> Step-DownSWレギュレータ -> 6.0V という流れ。

どうみても、触れないほどの発熱の理由が分からない。
確かにSWレギュレータは高周波物を選択しているが、トランスに無理がかかることは無いはずだ。

トランスの配置を変えてみる。
ものは試しと、真空管側の3倍圧を作っている電コンを挟んでの鉄心側の横並びに変えてみた。
コンデンサも巻物なので、誘導ハムを懸念してこの配置はあえて外していたのだが・・・・
聴いてみると。
うわぁ〜〜!
パチパチ!ハムが無い。
無用の心配だったよう。

その後しばらく、この状態で使用しているが、トランスの発熱は雲泥の差だ。

基板はまだ固定せず、フローティングのまま。
背面も付けずにケーブルむき出し。

なんとも中途半端度はバラックとなんら変わりがないが、この状態で数週間、聞き流しとした。
部品の位置がほぼ決定となったので、ヘッドホンでノイズ、歪 をスピーカーの大音量でとか、どこかに影響が出ないかいろいろ試してみた。

インナーヘッドホンで聴いていて、気になった点がひとつ。
基板上のトランスに近い側の「赤コン」で微かにハムが乗っていた。
ケース側の方は問題ないことから、大小の「赤コン」をケース側へ移動。
上の写真は、変更後の写真。
当初は真空管に左右対称配置で作っていた。

ここまでやったところで、入院となった。

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■ 箱詰

退院後、体調は前述のとおり。
仕事の復帰は11月から。
テニスは封印状態。
どちらも少しずつではあるが、復帰に向けて頭と体の準備を進めている。
とは云っても、まだ時間に余裕がある。
箱詰めを再開した。

作業はまだまだ5合目。
先を急ごう。

<リアパネル>
いつもどおり「基板」でお手軽作成。
今回は、新しく仕入れた両面ガラエポで。
ただ切断が大変。
今まで基板はPカッターで切断していたのだが、すぐ切れが悪くなって一向に切断される気配がない。
そこで木工用の工作ノコギリを持ち出し、切っていたら刃こぼれを起こした。
どんなに硬いんだよ!
ググったら、金ノコで切るらしい。
どおりで・・・・
今後のため、アマゾンに金ノコを注文!ポチッ!
工作ノコギリの替刃も買わなきゃ。

穴開け、部品取り付け。
こんな風に。

<フロント>
フロントは、MDF+紙エポ基板。
ゲイン設定用ロータリースイッチとNFB可変用VR。
ロータリースイッチはリッチに密閉タイプもの。
VRはLinkman@マルツ、20KΩ。
バラック状態のものをそのまま使おうとしたのだが、ガリオームになっていた。

さすがに箱入れなんだから新品を使いたい・・・・新品はあいにく自宅在庫切れ。
20Kオームしか無い。バラックでは50KΩだったが、しかたがない。
それでも、いつでも50KΩに替えられるようハンダではなく、ピン接続。
さらに、ガリオーム対策にワイパーとCCW端子の間に330uF-NPを入れることにした。
これを入れたらALLオペアンプのときと同じ構成。だが精神衛生上しかたない。
念の為、LTspiceでシミュレーションしてこの容量で問題ないかは確認済み。
この容量ではVRが数十Ωの時に50Hz以下の低域のNFBが浅くなり低域が盛り上がる特性になる。
今回なるべくVRの中点での使用を想定しているので、そんなに容量は必要なのだが念の為。

さらにゲイン設定は、アッテネータ方式から反転増幅の入力インピーダンス増加方式に変更。
凶と出るか吉と出るか・・・・・
20KΩVR用のゲイン設定値の計算しなきゃ・・・・
あっ!50KΩに戻したときも変更必至か!!まぁいいか。

気になるのは音出だけ。
330uFのせいなのか、ゲイン設定方式の変更なのか20KΩしたからなのか分からないが高域寄りの音になった気がする。
エージングしないと最終判断は下せないが、なんとなく今までよりキラキラ感。
330uFのせいなら小容量のフィルムでもパラった方がいいのかなぁ。
エージング済んでから要検討だな。
その頃には耳が慣れちゃいましたなんてオチだったりして。
 

<アルミケース>
リアパネル側からスライドインタイプなので、こんな感じに切り抜き。

上面に排熱用に18mmの穴を数カ所。
真空管側とトランス側。
手作業なので、さすがに疲れる。
先に3mm穴を開た後、これで18mmまで拡大させる。

穴を開けたら、裏から金網貼付け。
大好きな「SuperX」で固定して完了。
固まるまで24時間放置。

つづいて
ゲイン設定用ロータリースイッチとNFB変化用VR軸の穴。

フロントパネルは、しばらくオアズケ。
力尽きた。

つまみも、自宅在庫品を使っているのでデザイン上どうか。
レトロっぽくて、つい買ってしまった「つまみ」だけど、これに合うように黒のフロントにするか。
そうしたらケース全体も黒にしないとバランスが悪いし。
あり合わせでナントカしようとすると考えることが多くなるなぁ。

箱入れにあたり気になったトランスの発熱は・・・・
秋から冬へ移りゆく季節の低い気温のせいもあると思うが、長時間でも以前のような熱さは感じられない。
ケースの上部からうまく熱気も逃げているようで、真空管真上の穴付近を触ってもほんのり程度。
真空管1本なんだから、この調子でおねがいしますヨ〜。

ヒーター用スイッチング電源の青いLEDが真空管らしさを阻害して痛々しい。

 

■ ヒヤリング

アクティブボリューム格段の構成は、


入力の受けは、OP275の反転増幅。
音が素直で真空管の音色を邪魔しないようだったので採用。
LM317/337/LM358を使った+/-14V安定化電源
パーツはふんだんに有るので、市販基板だけを購入して楽をした。

出力段は、6N3Pカソードフォロア。
B電源には、36V-CT付トランスを3倍圧後リプルフィルターを通し+/-65Vへ。
リプルフィルタは 2N5550/2N5401で約10Vをドロップさせる簡単なもの。
ヒーター6.0V点火。25Vから6VだとLM317では発熱がスゴイので、中華3A(LM2596S)降圧スイッチング電源使用。
楽ができて、省スペース。ノイズ対策がモノによっては必要かな。
そんなRFは気になるが、いまのところ防災用携帯ラジヲへの影響もないから良しとする。

オペアンプとB電源は、36V-CT付/0.7A トランスを共用。
試作バラックの段階でヒーターのスイッチング電源もここから取ろうとしたが、ハムが発生したのでアウト。
ノイズだけならわかるが・・・・
別途ヒーター専用トランスとして、ACアダプタの中身18V/1Aの登用となった。

100Vラインには自作ラインフィルタを入れてある。

今回の評価システムは、

スピーカー(自作)
同軸20cm
箱容量20L(ユニット容量含まず)
バスレフ 65Hz(3ポート構成)
ネットワーク:最終テスト中。

USB-DAC(完成品基板の組上げ)
XMOS XU208 DDC
ES9028Q2M シングル
RCA出力用オペアンプ LME49990

アンプ(自作)
自作:Effecient Class A(SEPP構成のシングルエンド回路)
上段Trで電圧を下段Trで電流というおもしろい回路。
アイドル電流に左右される回路ではなく50mAほどがお薦めということなのだが、流せば流すほど確実に音が変わるのでたんまり流したいが、ほどほどのところで100mAとしている。

上記のこの構成に・・・。
6N3Pがたった1本、加わっただけでピアノやバイオリンの余韻がリアルになった。
大きく色が付いたというわけではなく、音が丸くなったというわけでもなく、角がとれた感じ。
バイオリンを聴いたときに尖った感が少なくなった。
上手い人がバイオリンを弾くと、こんな音で聴こえるってくらいに。
しかもノイズ、ハム共々ヘッドホンでも皆無。

リファレンスとなったSTAXと聴き比べながら・・・・夜が更ける。

フロントパネルはまだオアズケ状態で、これまで作ってきたものもまた同様、これらを総合して統一したデザインを考えていいこう。
そのうちね。
手間のかからない方法で。

 

明日から、いよいよ出社。
2ヶ月ぶりだ。
忘れられてないかな?

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