■目的
最近もっぱら PCで再生することが多い。
リッピングはポータブルプレーヤーに移すのも目的の一つだが、PCで再生するとラジオのように長時間連続して再生でき、CDのように入れ替えがないのがいい。
現在使用のEDIROLは思いのほかかさばるので、ほかに もっと機動性の良いUSB-DACを見つけることにした。
NotePCと一緒に持ち歩ける大きさで、手頃な値段の USB-DACキットなどネット上の情報を参考に値段・スペック・評価などを気にしつつネットを探ってみる。
やはり既製品はよくできているかわりに価格も張る。
ただ、手の出しやすそうな値段のものはどれも期待して購入するには高い買い物のような気がして、結局、以前、秋月で興味本位で購入しておいた「USB付きアンプ基板」を利用してみることにした。
実はこの基板のUSB-DAC部は、あまり評判が良くない。そのためUSB部の使用目的はなくアンプ部を使おうと考えていた。
今回は、あえてその評判の良くない部分を使う。

USB-DACチップ UAC3552A の特徴的なところをデータシートから抜粋すると
12-Mbit/s USB transceiver
adaptive isochronous endpoint for USB Audio
supports 16-bit mono/stereo and 24-bit stereo audio data
adaptive sample rate converter for 5 to 50 kHz input sampling rate
THD better than 0.01 %, SNR of 96 dB
integrated low-power stereo headphone amplifier
analog stereo input (AUX) with source selection and mixing

そんなに悪くないスペックだと思うのだが、音は悪いらしい。

■第1部
アンプ部の切り離し

「USB付きアンプ基板」には、USB-DACとパワーアンプの両方が乗っているので、使用しないアンプ部は電源供給部分から切り離す。
さらに USB-DACには USBから電源供給されるように変更する。

このDACに音質を求めるのは論外のようなのであえてUSB給電にした。
少しでもこだわるようであれば外部電源となるが、今後制作していく中で臨機応変に変更していくものとする。

切り離しは簡単。
5Vレギュレータの出力足に、47uHをシリーズに入れたUSBからの電源ラインをポン付けしただけ。
あっさり完成。
ケースは、大昔のMac用だったEthernetアダプタのどんがら。サイズぴったり!!
良く捨てずにとってあったもんです。中身はとうの昔にサヨナラした筈。
とりあえずは、ベルクロバンドで固定して・・・・仮住まい完了。

[USB-DAC基板]
USBDAC基板

[ケース&収納]
USBDACケースUSBDAC収納

[USB結線]
USBコネクタ

[仮住まい完成]
USBDAC仮住

USBケーブルは、PCのMLBに付属していたものを切断。
後日100円ショップでも見つけた。わざわざ切断しなくても良かったかも。

■第2部
出力不足解決

この基板の改造をされている方のサイトを拝見すると、出力不足が問題になっており、色々苦労されているようだ。
このICが持っているボリュームを利用できるようにして調整しているようだが、ちょっと老眼での作業はきびしい。
とりあえず24Ωのヘッドホンを接続して・・・・・音量をチェック。
不足している感はない。AD1000を接続しても不足感はそんなにない。
音質をチェック。確かにメリハリがない。モッサリしている。
いろいろ求めたらかわいそうだが、モッサリはいただけない。

そのままアンプに接続すると、残念なことに音はモッサリしたまま増幅されてしまった。
皆さんが書かれているとおり、たしかに音量は低い。なぜ?????
音量に関しては、チップのボリューム機能の復活で何とかなるかもしれないが、多分モッサリ感はとれないだろう。
このICのデータシートを眺めてみたが、ヘッドホンのダイレクト出力が売りのようで同じラインから分岐させているAUXはおまけのようだ。
もしかしたらインピーダンスが合っていないかも知れない。
ならば力技で解決を。
ゲインを持たせた オペアンプ(以降OPA)バッファを追加することにした。

しかしながらこの基板、PCのスピーカーコントロール・パネルのトーンオプション“低域ブースト”がデフォルトになっている。
チップがそのように設定されているようだ。“低域ブースト”をOFFに設定しても、USBの差し直しや何かの拍子にONに戻っている。

[低域ブースト]
HPA_DAC_sp_pannel

[回路図]
HPA_DAC_buff
220Pは必要に応じてL1とR10間に接続

[基板配線]
HPA_DAC_BUFF_kiban
左:OPA用電源部/右:NJM2122D

[USB-DACバッファ完成]
IMG_DAC_BUFF(1)IMG_DAC_BUFF(2)

使用したOPAは、NJM2122D、超ローノイズ品だ。マイクロホンなど向き用途のものを使用した。
ここで、不足しているゲイン増強と音質調整を行う。
NJM2122Dは、非反転と反転を両方ためし、反転のほうがレンジが広がった感じがしたので採用した。
“30~50dBのゲインで使用すること”と記述あったが、ゲインの落ち着いたところは6倍(16dB?)ほど。特に問題は無く、音量、音質ともにまあまあのレベルになっている。
それに超ローノイズだけのことはある。ためしにNJM2043DD差し替えるとかすかにノイズが乗っているのがわかる。
モッサリ感、音質はダイレクトより良くなったが やはりCDデッキからの出力と比べるとやっぱり今一なのは隠せない。
ASIO対応ではないのも残念なところだ。愛用しているAIMP2がASIO対応でないのでハードで対応できても意味がないのだが・・・

NJM2122D が低電圧OPAなので、どうせなら USB から電源供給しようとも考えたが、気になるのは電源ノイズ。
単電源にトライしたが、うまくいかず断念。
MC34063A を使用して、-5Vを作り +-電源にしてみたが、電源ノイズがカットできず断念。
たぶんPCからのノイズだと思われるが、まだまだ勉強が足りないと実感。

あれこれ悩んだ挙句。これはこのままでこのケースに入れて制作し、携帯用UDB-DAC用途とした。

予備用に購入したもう1枚の「USB付きアンプ基板」をUSB給電仕様で本来の目的のポータブルHPAに内蔵し、NJM2122Dバッファとペアで使用する。
USB給電の理由は、ポータブルCDプレーヤー接続時(アナログ入力時)にはそもそもUSBに無駄に給電する必要がない。
電池運用時にUSBは必要ないのだ。それでも NJM2122Dの分が余分に消費されるが、10mA 以下なので気付かないふりをする。

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