■目的
これまで、携帯用ヘッドホンアンプ(HPA)の延長として電源電圧5Vに限定し、電源の生成やOPアンプの選定を行った。
ところが、ポータブルプレーヤーの買い替えにより携帯型の必要性がなくなりこれまでの苦労の矛先を収めるべくものとして、室内での持ち運びできるものを計画・試行してきた。
よくよく考えれば、室内用としたことで電池1~2本昇圧5Vに限定されなくても良く、電池の消耗も充電池有効利用により解決。
無くなれば交換すればよい。
緊急のためにACアダプタが利用できるようにしておけば全て解決。
デスクでは、USBから電源が取れれば尚よろし。
ということで、全てを再考しなおすことにした。

■仕様
電源電圧10V以上。電池は充電単位である4本から昇圧生成。
OPアンプは NJM4580DDやその他ピン互換性のあるものとする。
バッファー部は、これまでの制作からインバーテッド・ダーリントン。

■第1部
電源部

いつもながら昇圧でググってみると出るわ出るわ。そのなかで気になったのが MC34063A の製作記事。
100円ショップで手軽に調達できるということで、最寄りの1軒に探しに行くとあっさり購入。
100円だったので3セット購入してきた。
ばらしてみると、製作記事の通りのパーツ構成。

まずは、MC34063Aのデータシートを取り寄せ眺めておく。
たしかにSTEP-UP、STEP-DOWN、INVERTERの多彩な回路構成ができるようだ。
ちょっとワクワクしてきた。
気になるコイルだが、LCRテスターで計測したところ約200uH。
計測に結構誤差があるのでだいたいという感じであるが、データシートのSTEP-DOWNで指定されている数値に近い。
STEP-UPにもそのまま使用できるかもしれない。

ということで休日を利用してたっぷり実験を行った。

最低でも10Vが欲しいので、抵抗値を算出しておかなければならない。
在庫している抵抗値でもっとも近いのが、約9.7V。
数本組み合わせれば10Vにできるが、無理せず約9.7V = 6.8KΩと1KΩ に決定。
電流検出抵抗は、出たこと勝負。とりあえず 1Ωパラで=0.5Ω でスタート。
発振周波数は、先人のページ(http://8131.teacup.com/1813/bbs/406)を参考にして決定。感謝。
可聴範囲への影響を考慮して 220P=90KHz とした。

何かもっと苦労するかと思ったが、あっさり予定の電圧が発生。
出力に 50Ωを接続し 200mA負荷をかけても、9V程になるだけでほぼ安定。
50Ωから煙が出てきた。もっと行けそうだが、コンスタントにここまで出せればればよいだろう。
実際の使用では、出力側にLをかませて少しでも発振周波数の漏れをフィルタすれば完成。
電池が消耗しても、出力電圧が安定していることもうれしい。
一定ライン下回ると一気に昇圧しなくなるので、中点バランスが崩れにくいのもメリットである。
効率は、おおよそ 75%。まあこんなものかもしれない。
あっさり過ぎて物足りなさが残るが、こつづくアンプ部で余裕を持てそうなのですごく楽しみだ。

今回流用したのは、コイル、MC34063A、SBD。
これだけでも100円でそろわない。本当にお得なカーアダプタだ。

昇圧回路は以下の通り。
定番すぎて面白くないが載せておく。

MC34063A_PWR

分圧回路は、これまで制作してきた回路を使用。

次回は、アンプ部。
電源電圧が上がって色々なOPアンプが使用できるので楽しみだ。
また、ちょっと試してみたい補助回路もあるので、テストしてみることにする。

■追補
MC34063Aを使用する際に定数などの選定に役立つサイトを見つけたのでリンクしておく。
http://www.nomad.ee/micros/mc34063a/index.shtml
inV, outV, 必要な電流, 発信周波数 を入力すると定数を自動計算してくれる。
ただ、融通は利かないので最終的にはTry&Errorでやっていくしかないのだが、あたりを付けるには便利だ。

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