■ TA7630Pを食ス

10月のシルバーウィーク3連休、期待していたテニスもコートの予約が取れず、結局ほぼフリーになった。
しかし、なんだかんだで時間は過ぎるもので、あれこれ用事を済ませているとあっという間に最終日。
少しでも爪痕を!で、「他力 de D級」の構想を少しでも進めようと思い、一番気になっている電子ボリューム部分をチェックすることにした。
このところ、ちょっとボリューム部が気になっているので一気にやってしまおうということに。

「他力 de D級」で使用するVRチップは、“お手軽、お手頃”の「TA7630P」。
このチップは、マイコンやPICを使用する必要が無いので回路図さえあればササッと組めることから採用しようと考えた。
しかし、データシートから見て取れるノイズは比較的大きく、実際にはどのように聴こえるのだろうと・・・
また、まだその音を聞いたことが無く、構成図に組み込んだもののとても気になっていた。

ブレッドボードでは、「音」はともかく「ノイズ」に関してはやはり基板を組んでみない事には分からないと云う事で、
ひさびさに「蛇の目基板」を持ち出して、それで組んでみることにした。
“基板の削り出し”でもしようかと一瞬考えたが、蛇の目基板の方が楽だろうと軽い気持ちで・・・・

「TA7630P」の電源は、+/-7Vまでが電源許容範囲なので、手持ちで+/-揃っているレギュレータは5Vのみということでそれを使い、アンプの電源から取る。
本体回路は、データシートのそのまま。
高低域のターンオーバーを決めるコンデンサも指定容量のものがたまたまストックにあったのでそれを使用。
in/out のコンデンサは、高域の特性を考えるとやっぱりフィルム。少し少なめの容量だが、2.2uF。入力抵抗はそのまま。
これでも入力の低域減衰は0.72Hz となるので大丈夫。
出力側は、接続される先に依るかな?

部品が決まれば、PasSで部品の位置決め!
TA7630P_PCB01

つづいて、配線。
これが大~~変。後悔しまくり。
あまりにも手間で!
しかも、よく見えん!またローガンが進んで、いつもの老眼鏡では手元が見えない。
午後昼食後から始めて、なんだかんだで配線が終了した時には、既に夜。
配線が終えたらすぐにでも接続したい気満々なのだが、蛇の目基板はここから配線チェック。
どうゆう訳だかこれが面倒くさい。
しかもミスがあるとこれまた面倒。
蛇の目基板を敬遠している理由がここにある。
TA7630P_PCB02

赤丸: 10KVR接続(写真では接続されていないが・・・・
緑丸: バランスVR=5K1 x2
青丸: BASS/TREBLE=5K1 x2
とりあえず、ボリュームコントロールだけできればイイという事で。

夕食まだ食べていない。
奥様は終日、お・で・か・け。
だから、のんびりと製作に没頭していたら、あらあらもうこんな時間。
そろそろ“駅まで迎えに来て~”とラブコールがある筈だ。と思っていたら案の定。
奥様帰宅後、自分はこれから夕食。
インスタント・サムゲタンで雑炊をチャチャッと。か~~んたん。
落ち着いたお腹で、しばしユッタリと。

さてさて、こちらも実食!
電源投入!

うぅ~~~ん。
なんだかな~~~。苦労して作ったのに・・・・
音が“のっぺり”。
聞き流す用途なら不満は無いんだけどぉ。
定位は、どうもセンターに集まりがち。不自然さが残る。

ヘッドホンに切り替えてノイズのチェ~ック。
んんん〜〜〜〜ひどっ!
ボリュームをセンター付近に回すにしたがい、入力が無いにもかかわらず膨大なヒスノイズが・・・
入力をショートしても変わらないのでチップ自身のノイズという事だろう。
それにしてもヒドイ。
ボリュームをセンター以上回さないようにして、欲を言えば1/4以下で使いたいが、そうすると当然、入力を大きくしてSNを稼ぐしかない。
入力を1Vrms くらいまで持ってくれば、十分な音量は稼げそうだが。
TA7630Pの一番歪み少ないところは、入力 0.3Vrms。
でもこれだと先のとおり、ボリュームを回さなくてはならず、必然的にノイズまみれになることに。
入力の最大値が1Vrms くらいなので、前段ゲインを取り付けてカサ上げすればボリュームの低い位置で使えるが、歪率が悪くなる。
どちらをとる?

どちらもイヤダ〜!

期待を込めて、寝るまでの数時間、灯を入れっぱなしにしたけどあまり変わらない。

結局“これは使えない”と断定し、シルバーウィーク最終日は幕を閉じた。

 

■ DS1882を食ス

そのシルバーウィークから一週間も経たっていないこの週末。

購入してストックと化していた「DS1882+PIC」の電子ボリュームをようやく作ってみることにした。
今、勢いに乗っているので、ここを逃したら次いつその気になるか分からないからである。
そもそもストック化していた原因は、このチップ、SOPなのである。
め・・・目が〜チカチカする〜

回路自身はたいしたことはないで蛇の目を使いたいのだが、使えない。
「パターンを起こす」か「基板削出し」しかないのだ。
今回テストだし、3キット分しかチップもないし、パターンを起こすまでもないな〜ということで、
ここは、キッパリ覚悟を決めて「削出し基板」で行うことに。

なにせ、SOPを扱うのは初めて。
ピンの間が“せまっ!”
ハンダ付けは大丈夫か!?
やはりその前に難関が!

このチップとPICを購入したホームページの基板パターンを参考に、生基板にフリーハンドで書いてPカッターでパターンを削っていく。
案の定、複雑ではないのに削りミス。
細いパターンを一本間違えてしまった。
failed_PCB
次は注意深く、何とか2枚目では成功。
パターンと回路図を見比べて念入りにチェック。
この段階でのチェックは面倒ではないのに・・・
チップ類のハンダ付けも、何とかこなし、いざ!。
DS1882_PCB01DS1882_PCB02

う〜〜〜ん。左側から音が出ない・・・・(実際はかすかに出ている)
右側は元気だ。でも歪んでいる。

チップが浮いているのかな〜〜。
上から押さえても状況変わらず。
半田付け後、ピン一本づつパターンとの導通チェックしてるからな〜〜。

テスターで調べていくと、DS1882のアナログ入力の片パターンが、GNDとショートしている模様。
しかもどうやらチップの下のパターンで。おぉぉぉぉ〜〜〜〜 (ToT)
きっと半田下地を作った時だな。これはもうどうにもできな〜い。
仕方なく、足を基板から持ち上げて、ショートしているパターンをカッターで2分割。
そこへ空中配線。
DS1882_PCB03
ショートしていないことを確認して・・・
今度は、両チャネルからの音出までを確認。
右側の歪みもなくなった。

どうも、久々に基板と格闘しかも慣れない細かな作業で疲れてしまった。
肩は凝るし目も痛い。立ち上がると腰も痛い!どういう訳だか膝も痛い・・・・?

ここいらで一休みして、アンプを繋いだ火入れ確認は夕食後ということに。
・・・・・・・・・・
・・ハンバーグ・・
・・煮魚・・・・
・・・・・・・
・まったり・
・テレビ・
・お茶・
・・・
・・

さてさて、それでは現アンプを繋いでみますか。
「負帰還VR」を外して、とりあえず、DS1882の出力をそのままアンプへ。
まだ、それほど遅い時間ではないのでちょっと大きめの音で。
ネットラヂヲがイイ音で流れてくる。
いつもの、バイオリン、ピアノのソースに切り替える。
全体的にクリアで低域の締まりがある。
定位も広がりもナチュラル。
聴きなれた音場が展開された。
入力からの音が素直に出ている印象だ。
DS8882のデータシートには、典型的な回路として出力バッファの書かれたものが載っていたので、NE5532のボルテージフォロアーを追加してみた。
流石というしかないのか、支配的というのかNE5532の音になって出てくる。
しかしこの“切れ”がたまらない。
嫌いではないので、これはこれで。
しばらくNE5532のこの状態で・・・

お次はヘッドホンでチェック。
気になるヒスノイズ。
入力をショートさせてボリュームを回転させていくと回転時に多少ノイズが乗ってくるものの、最大にしてもヒスノイズは聴こえない。
DS1882のノイズの低さが分かる。
DACを繋なぐとさすがにDAC側のノイズが乗ってくるのが分かるが、その時点でボーリュームをかなりの位置まで回しているので、そこで音を出したらスピーカでも大音量。ヘッドホンではありえない。
比較的録音音量の低いソースには、やっぱりこれくらいでないと使えない。
クラシックは特に。 pppな音も多いからね。

総合的には、DS1882は概ね満足な結果となった。

それにしても、このキットで出来上がる基板はものすごく小さい。
実際、それを分かって、だから購入したのだが、余裕を持たせた「削出し基板」ですらこの大きさでできる。
ボリューム回転時のノイズは、ロータリーエンコーダーに変えたら無くなるのかもしれない。
手元にそれがないので確認できないが、アキバに行った際には調達するようにしよう。

後日、ボリュームを回したときの“プチプチ”ノイズについて調べてみた。
どうやら、DS1882だけではなく全般的に、バッファーを付ける際にバイポーラ入力OPAの場合その入力バイアスが悪さをして発生するということが分かった。
試しに2.2uFフィルムを入れてみたら、“プチプチ”ノイズが無くなった。
ということは、FET入力OPAを使うか、バッファーにカップリングコンをいれるかのどちらかになる。

ということで「他力 de D級」に搭載する“電子ボリューム”はDS1882に“変更”決定。

さて、お次はなんだっけ?

年寄りは物忘れが早い。

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